[ 釣りに出掛けた兄弟は、密入国していた海賊団に誘拐された。
ナネッテは船の《羅針盤》として
ジョエルは船の《暇つぶしの玩具》として
そして、ナネッテは大きな傷を負い、
半身を失った。
海賊を憎む動機としては、充分。
そのときから、ナネッテの海賊嫌いは発症した。
もちろん、年月を重ね、上っ面の厚さだけは増し、表立って感情を露わにすることはないが、心の奥底に眠る感情。
しかし、皮肉にも命を助けられたのも、海賊だった。
海の上、目を失い死にかけていたナネッテに、亡くなった兄の瞳を移植手術をてくれたのは。
どこぞの誰ともしらぬ、海賊。
だから、海賊の全員が全員、悪ではないと知っているけれど。
無意識に一線を引いてしまうのは、一種の拒否反応。
とはいえ、それは彼女の胸の内の秘密ごと。 ]