― メインサロンへの道中 ―
…それからここの角を曲がればいいのかい?
[ 道案内を受けながらの道中、
カレルと言葉を交わしながら歩いていた学者は
通路の脇に通信端末が落ちているのを発見した。
画面には複雑なデータが表示されているが、
どうもザッと見た限りでは何かの原稿らしい。 ]
総会参加者の誰かが落としていったものかもしれないな
情報漏洩がどうだのとお偉方が五月蝿いっていうのに
こんなところに捨てておくなんて勇気があるね。…まったく。
[ 端末を拾い上げて中身をザッと眺める。
秘書ちゃん…とか何とも胡散臭いファイルもあるが
持ち主が特定できればいいので見ぬふりをした。 ]
なになに、ダルメシアン・ルマ…
総会に出席予定の教授じゃないか。
[ 呆れた声で呟く。
仮にも公演をしようというのに資料を落とすなんて。
本人に会ったら文句の一つでも言ってやろうかと
そう思いながら電源を切った端末を小脇に抱えたその時。 ]