― サクソー川/北岸 ―
[ 東の橋に押し寄せる解放軍からの追っ手はあったかどうか、あったとしても、振り切る勢いで、騎馬隊は八隻の小舟を追うように北岸を駆ける ]
気をつけろ!この辺りならもう見張りが居る筈だ!
[ 声を張り上げて注意を促したのは「橋」のい影が漸く捉えられる辺り。
解放軍の見張り役は卓越した技量の弓の名手を擁しているとは、既に知られている ]
ん...?
[ 先頭を走る彼の目に、草の間にちらりと赤い色が揺れたのが見えた>>135 ]
(伏兵か...見張りか?)
[ もう弓の射程であろうが、相手が矢を射かけて来る様子はない ]
(確かめるか...)
はっ!
[ 馬に鞭を入れ、一人速度を上げる、弓矢の狙いを逸らすために、不規則な蛇行を混ぜながら、赤い髪の見えた方へと疾走した// ]