― 霧がまだ晴れぬ中・上空 ―
[この瞳と同じ色を知っていた気がする。切り上げのために低く取った位置から見上げて思う。
幼馴染だというのだから、当然なのかもしれない。
ただ、それを明確に思い出せないことはなんとも歯痒くて、軽く下唇を噛んだ]
うわっ。
[均衡が破れ、呼び起こされた風に大きく押し戻される。>>108
それでも視線は逸らさない。再び槍が構えられるのが見えて]
トルメンタ、扇いで!
[氷竜の羽ばたきでも槍が纏う風の幾らかは相殺できるはずだが、風竜の風を全て防ぐことなど到底できない。そして槍の勢い自体も止められない。
今度はこちらが曲刀の腹を正面に向けた構えを取る。押し切られないように左掌の付根で刃の上部を裏から支えて、その一撃を受けた]