ベル、…
[口を衝いた声は自覚が出来るほどに微かだっただろう。
同時にあまりに感情に乏しく、淡々としていた。
ダーフィトは一度キツく瞼を閉じると、開け
ラヴィの姿が近くにあったなら相談を持ちかけただろう。]
なあ、こいつをこのままにしておくのは偲び無いんだが、
何とかしてやれないかな。
[床を満たす固まりかけた液体の中には
人の足跡らしきものが一つ二つと残っていた。>>5
ラヴィを呼んだ誰かが先んじたのかもしれないし、
惨状を齎した犯人のものなのかもしれないが
その上を踏み荒らすような真似は控えたかった。
しかし、後輩を床に寝転したままなのも寝覚めが悪い。]