―食堂にて―
>>135
マリアとは外の酒場で知り合って、気が合ってな。
一緒になってすぐにファウストが生まれたんだ。
稼いでたつもりだが、カタギの仕事じゃないから安定はしない。
次第にケンカが増えてね。最後はファウスト連れて出て行っちまった。
よくある話だけどな。
今じゃ庭も荒れ放題、家の中もまあ、ひどいもんだ。
いつだったか大勝ちしたとき、愛用の帽子を、ちっちゃいファウストに譲ったんだよ。
験担ぎに、お前も立派な賭博師になれるように、ってな。
そりゃ喜んで、ブカブカだっていうのにどこに行くにもかぶってたっけ。
マリアのやつあれっきり手紙もよこさないが
ファウストは…きっと、どこかで元気にやってるだろう。
[…は空になったグラスを見つめた。]