[ぶらぶらと夜道を歩く。こんな山奥の村だというのに、予想よりはるかに開けているように見えた。
どうやら、宿は安宿と高級宿があるとか。自分の泊まる場所? 決まっている。安宿の値段によっては野宿]
稼いでいい場所あるかねえ、駅前や商店街でストリートパフォーマンスってわけにいかないだろうな、さすがにどっちもないだろう。
[物珍しげに辺りを見回しながら、村の道を確かめながら歩いていく。随分と外れたあたりまで来てしまい、また山道に逆戻りするのもなあと引き返そうとしたそのとき、道の向こうに屋敷の明りが見えた。>>126]
ふうん……ますます面白い村。リゾートや避暑地ってわけでもないだろうに。やっぱりあれかな、あの噂に惹かれて人がやってくるからお金も落ちる。
あるいは、もっと他の何かがある。いる。――ま、そういうのは、どうでもいい。
[綺麗な建物を観光気分で見上げていると、生垣の向こうに何かの気配があった。
屋敷に戻っていく華やかな服の後姿。この屋敷のお嬢様だろうか。]