[...は絡まる細い指の感触に息を飲み、]
…ナ、ネッテ。
[細く静かに吐き出しながら、大切な名前を音にのせた。]
俺は…貴女に貰ってばかりだと思っていた。
初めて会った時だって、その眩しい笑顔に、酒を交わす楽しい時間に、それに…慈しみをくれた。
出会って間もないのに、俺の事を覚えていてくれると、言ってくれた。どんなに嬉しかったか、分かるか?
俺が貴女と居ることが幸せなように、貴女もそうなら…
ナネッテ。俺と貴女は、お互いに歓びを与え合う事ができるのかな。…そうでありたい、な。
……ナネッテ…?
[...は耳元に寄せられた柔らかな声に思わず目をつむり、肩へ重みを感じると緊張に体を強張らせ、]
あ、あの、ナネッテ。
その…貴女に渡したいものが…、や、あとでもいいんだが、うん、もう少しこのまま……
[早口にぼそぼそと呟きながら、ナネッテの手をきゅっと握り返した。]