―もしかしたらあるかもしれない未来―
久しぶりだな、フェリクス。元気そうでなによりだ。
……こんな処に二人で?
[ぐるりと辺りを見回す。
人が容易には入り込めない、自然に囲まれた場所。
そんな場所にフェリクスとソマーリュの居場所はあった。
居場所自体は知っていた。
しかし、自分は覚醒前のウィルスの影響か吸血衝動が極端に低くなっていることもあり、薬師として人との交流を細々とながら持ち続けていた。
なので、距離があるからとここを訪れる機会も今までなかった。
しかし、人と交流を持ち続けているといえど、10年も風貌が変わらなければ不審に思われる。5-10年を目安に引っ越しをしていた。
今回の引っ越しでたまたま彼らの居場所の近くまで来たので、寄った次第である。]
あまり気の利くものを思いつかなくて、すまない。
[そう言って、差し出した物は小さな
彼らの日々の生活の潤いになればと、下の街で買い求めた。]