[不安気に啼くウシャスの背を撫で、語りかける。]
……済まない、ウシャス。
互いに背負う物、別に護る物がある以上。“弟”とは言え、今の衝突は避けられない。
[告げる事実は、淡々と。けれども。]
……お前の言う通りだ。
殺す必要は、無い。殺さず互いに暮らしていけたなら、それが一番だった。
けれども。
――――私が斃れれば、他の誰かが余計に死ぬ。
コンラートが、ネージュが、アリーセが……或いは……。
…………それは、解って欲しいんだ。
[その他の名を、続ける事は無かったが。
哀し気に空気を震わせた竜は、それでも。数拍後、褐色へ向け、全力で飛んだ。]