ッ、必ず戻れよ![その背に向けて諾を含めた声を投げ、私は黒馬の手綱を取った。馬へと跨り、愛馬とは少し異なる乗り心地を感じながら黒馬の腹を蹴る。黒馬は村の入口には向かわず、家々の横合いから森のある方へと駆け出した。木々の途切れた箇所を駆けるが、フードマントを被っていること、深い霧が立ち込めていることから、上空からはぼんやりとした影とだけ認識されることだろう。それでも村から離れていくと言うのは確認出来るはずだ]