― 『世界軸』上層・『深淵の間』 ―[階段を登り切れば、開けた空間に出る。 黒い床に、同色の巨大な立方体が、無造作ともいえるような配置で並んでいた。 自然の岩とは明らかに違う趣のそれは、場が違えば何かの芸術作品のように見えたかもしれないが] ……いる、よ。[自分たちとは異なる気配へ視線を向ける。 黒の中にあってなお深い、闇色の鱗を纏う竜。 部屋に踏み込む者に気付いたか、ぐる、と唸る声がした]