[そして現状。私と違って全うな危機管理能力を持っていた人達は、空が闇に覆われた時点で図書館を去っていった。「吸血鬼だ」とか聞こえたし、教会にでも逃げたのかな。うん、明らかにそれが賢明。どうせ見つかった時点で終わりと、横着に走った愚か者は私だけで十分だ。そういうわけで私は今、出口からも窓からも一番遠い棚の傍に座り込んで、たまたま陳列されていた吸血鬼の御伽話を読みながら現実逃避しているのだった。]