─酒場内、カウンター席から─
[しばらくの間、そうして考えを巡らせてはみましたが、頭で考えるだけでは何も始まりません。
カクテルのグラスを空けて、新たな一杯を店主に注文しました]
……ここに集まるような冒険者たちが、その行く末をある程度決めるまで店を保ってはくれないものかね?
[そんな風に店主にぼやいてみましたが、店主の反応はどんなものだったでしょう。
仮面越しには感情を読み取れないまま終わったやり取りに、また一人ため息です。
そして、ふと辺りを見渡せば一人になっているらしい女性に気付き、近づいてみることにしました]
やあ、確か……カサンドラだったかな。
精霊使いの。
[冒険者としては長い方。どうやら名前と職業は辛うじて確り覚えていたようです。
相手の傍に立ち、グラスを持った手を軽く掲げながら笑みを向けました]
今日は珍しい人が多いようだね。
かつて見た顔も新しく見る顔もそれぞれにここに思いがあるのだろう。