[キアラと共に広場に移動すると、劇で一緒だった面子もちらほらと集まってきていた。
暗がりの中に並ぶ橙色の明かりを越えて、高々に花火が上がる。
間近で見る花火の音は迫力があって、体を打つほどの音が聞こえる度に、周囲がざわめく。]
[僅かに冷たい風が通り過ぎた時。
緩く繋がれた指先から伝わる、優しい温かさに今更ながらどきどきする。
連続で打ち上げられる花火から目を逸らして、彼女の横顔を可愛いなあと眺めていた。
気付かれれば、「何でもないよ」と誤魔化してしまうだろうけど。]
………これは、俺が隠し切れないわ。
さっきツェーザルには口チャックしろって言ったけど…
もう、今まで通りに装うなんて、無理だしな。
[隣に居る彼女を見てると、好きな気持ちが溢れて仕方無い。
ぽそりと呟いた独り言は、花火の音や周囲の声に掻き消されてしまった**]