― 温泉 ― シロウ、石鹸が切れてるわ。 持ってきてー。[借りるというのは、軍服の貸与そのものだけでなく、対等でいるためのポイントのことも指してしたのだろう。 温泉に付き、湯をかけて浴びた砂や流した汗、塔を二周走った疲労などを洗い落としながら、こんな声を投げかけた。 本当に持って来られれば慌てるのはおそらく彼女のほうであるが、それでなお言うのはシロウへの信頼感だろうか――単にそれ以上に対応に困らせて意趣返ししたかっただけなのかもしれない。**]