[やっと泣き止み、名前を聞いた私に返されたのは、名前と共に差し出された手と笑顔。
意図は分からなかったけれど、私も同じように手を出したところで、握ってもらえればおずおずと握り返して。
渡されたハンカチも、これで顔を拭けということだろう、とは分かったから、恥ずかしくはあったけれどありがたく受け取って。
それと同じに確認された事柄に、ぱちり、と瞬き]
おばあさま、から?
あ、えっと、うん、わたしであってるとおもう、けど。
じゃあ、えっと、イェンス…さん
おばあさまのおまもりで、ここまでこれた、のね?
[此処に至る道に張られた結界は、私たち家族の持つお守りがなければ通れない。
同行さえしていれば持っていない者も通れるが、そうでなければ結界によって道を逸らされ辿りつくことはできない──とまではこの頃の私には説明が難しかったが。
ともあれ、なぜイェンスが此処に来たのか、此処にいるのかの理由もこれで納得できた。]