水……[バイオリンを拭いて弓を緩め、ケースに仕舞う。しばらくの間身体を休めた後、店のある区画に向かってふらふらと歩き出す。その途中、視界の片隅に、白い塊が横切った] ……今日は毛玉の当たり日か。[乗船した際羊を見て以来、猫と兎の方は見かけたことがなかったのだが。頭にちょこんと帽子を乗せた、柔らかそうな白い毛並みが、澄んだ鈴の音を鳴らしながら廊下を歩みゆく。子供や動物好きなら、さぞ喜ぶことだろう。]