[ただ、人で無くなったことを祝う席は息が詰まった。
自身は万民の安寧の為などと言う、
偽善的な感情で使徒と成ったわけではない。
バルタザールのように義憤に駆られた訳でもない。
単に貴族が民に支払うべき義務に相応しいと納得したからだ。
そんな当たり前のことを、慶ぶ宴席は狂おしい。
自身は利を数え、責を数えているに過ぎない。
早々に広間を抜け出し、人目を避けて、
薄明かりに照らされた庭園へ退いた。]
―――…こう云った持ち上げられ方は、
俺好みではないんだがな。
[独言を零し、噴水の傍へ寄れば、熱気を削ぐ風に顎を持ち上げ]