[頬に触れる少年の手に己の手を添えれば
あたたかく濡れる感触が指に伝う。]
手、よごしちゃったね。
[その手で慌ててハンカチを取り出し
少女は少年へと差し出した。
瞬く琥珀>>131に小首を傾げばさらと胸元の金糸が揺れた。]
…………えっ。
[聞けば驚いたように声上げて、
指さされた愛犬オズと少年を見比べる。]
オズ、っていうの? すごい、偶然。
――…あのね、オズ、って。
とっても大事で、大好きな名前なの。
だから、大好きなこのコにあげたんだけど……
[同じ名となればどちらを呼ぶか分からなくなりそうで語尾が薄れた。]