居心地がよさそう、か。――そうだといいのですが。[銃を構え、真っ直ぐに、木の洞に狙いをつけた。其の侭、ゆるやかな声で続ける]……副寮長。シュヴァルベは、とても良い所ですね。どんな生まれも事情も問われる事なく、巣の中の雛鳥のように、ただ、暖め合う事の出来る場所だ。外界のどんな恨みも、思惑も、此処には届きません。――全て脱ぎ捨てて、忘れてしまえる。ですが、燕は必ず此処を飛び立たねばならない。過酷な外界へ――自らの翼を以って。