[脚を引き戻し体を起こす。
両腕と引き摺った方の片脚は、地に着けるだけでも痛みが走り、まともに力が入れられそうもない。
対して胸部など前面を擦ったゾフィヤもすぐには動けないようで、こちらを掴んでいたはずの手は、今は力なく開いていた>>129]
はあっ……、はあっ……。
[腕と掌の痛みに顔をしかめながら、分銅を引き戻す。
胸が痛むほどの動悸と呼吸の乱れが、踞る少女を前に、飛ぶことよりも決着を急ぐことを優先させた。
片膝ついたまま、震える右手で鎌の柄をただ、握り締め]
[眼前の黒い翼向け、水平に振るう*]