― 西の塔 ―[導く歩みも掌も、塔に辿り着くまで一度として急く事はなく] ……いえ、あっという間でしたわ。 貴方のお陰です。[城までの旅路への労い>>73と知りながらも、悪戯めかした微笑で囁いた。城主の命を真摯に果たした彼の手を、僅かの間そっと両手で包み] ――ご武運を。野茨公にも、貴方にも。[加護と祝福の代わりに、心からの願いを込めて>>50騎士が扉の向こうに消えるのを見送った]