― 回想・半年前 ―[それは、自身の右手に風精を宿し、拒絶反応が出ることなく使徒と成った祝いの席であった。栄華を極めるサイキカル家の別邸にて、次男の魔化を慶び、マスカレイドが催されたのだ。金で縁取られた白仮面で顔を隠しても、色素の薄い金色は誰が見ても主役と知れる。サイキカル家は使徒の開発が持ち上がった頃から定期的に人材すら提供していた。それが上に立つべく生まれた者の義務だと謳い、また自身も、そう理解していた。]