[頬に流れる涙を掬う少年の手に既視感を覚える。幾度となく寄せられた優しい手は心に残るものと重なる。触れることがこわくないと教えてくれた手。そんな言葉が浮かんで、嗚呼、と感嘆の吐息が漏れた。優しく掛けられた少年の声>>130に、また甘やかされていると、思ってしまう。] ――…優しいね。[優しい言葉を嬉しくて。声を聞ける事が嬉しくて。何故かしあわせだと思えてしまった。不意に縋りたい衝動に駆られるけれど、それは愛犬の鳴き声で抑えられた。]