「王妃とその嗣子の正当な権利が臣民に認められ、ブリュノーにおいて安寧な暮らしを取り戻すことが我らの目的とするところであり、騎士たる者の誇りにかけて果たすべき義務である」
あくまでもその大義を通した上で、マルールは、ティルカンの懸念に慮り、王妃に修道院に入るよう進言するつもりがある。
[ 夫に先立たれた貴婦人の余生の送り方として珍しい話ではない。身の回りの世話をする侍女たちも修道女見習いとして同道するのだから、生活の質が落ちるというわけでもない。
ただ、自由に我が子と会うことはできなくなる。
王妃にそこを忍従してもらってでも、新王として立つ嗣子が中立であることを保証し、ティルカンとの戦争を回避したいというマルール側からの申し出であった。]