『 姫殿下。我ら王国の民は、花を愛しております。
春に咲き誇る桜の雅やかを。
春に寿がれる風花の四季祭を。
春に奉げられる常世の祈りを。
何よりも春風の詩と共に舞い踊られる巫女姫その人を。
私は姫殿下には未だ、国を統べる王として輝く資質は見出せておりません。
故にこそ解放軍に義を託し、逆徒の誹りを受けるを甘んじるを選びました。
然し巫女姫として、民に愛され四季を謳い国を愛する。
斯様な凛と美しく咲き誇る花を、益為らぬ虫以外、愛さぬ者が何処に居りましょうか。
姫殿下を愛し、義を立てる王府の臣民も貴女を愛し
また、王府に反し今刃を交える我らもまた、巫女姫を慕う、王国の民なのです』