― 『神魔の領域』・森の中 ―
……そうですか。
怪我させておいてなんですけど、届かせることが出来てよかった。
[師にはとても勝てないと思っているけど、それでも近付きたいと思うくらいの矜持はあるのだった。
同時に、師とはいえ何もかもを完全にこなせるわけではないという当たり前に気付かされるものでもあり]
もう、慣れてくださいよ、これくらい。
[薬を塗った際の年齢を感じさせる声には、ついそんな言葉を漏らした。
とはいえ自分も初めて薬を塗った時は、大した傷でもないのに痛い痛い言っていたかもしれない。
ともあれ手を止めることなく薬を塗り切った]