フェル王子。
[あえて、口にするのはかつて彼が幼い頃に呼んでいた呼称。]
幼い頃から王となるべくして育たれた御身にとって
今が最大の試練なのだと、お考えください。
それを踏まえて、進言させていただきます。
国の内政を司る官僚の中に、他国と通じているものがおります。
王子も見てはりましたやろ?王の胸を貫いた武器。
あれはラメールの物ではあらしません。
騒ぎが大きなる前に、国家の膿を排出すべきかと。
[軍の力を最大限使える者、それはやはり
フェリクス王子に他ならない。
ウェルシュ王子では国は大きくならない。
それが男の出した結論であった。
綺麗事では国は生き残れない。
必要なのは力。
有無を言わさず、何ものにも脅かされない力。強きを挫き、弱きを捨てる力。
さて、己が進言する偽りを、王子はどこまで聞き入れるか。]