― 北の湿地 ―
(霧が濃すぎる…)
[ 感じた瘴気の主を探って、慎重に湿地へと足を踏み入れた途端、纏いつくような濃霧に視界を奪われ、顔を顰める。
玄武神の結界で生じた浄霧とは違い、この霧には腐臭と瘴気が混ざっているのが感じられる ]
ち…
[ 小さく舌打ちしたのは、霧の瘴気に紛れて、先刻感じた強い瘴気の行方が曖昧になってしまったからだ。或いはこの霧自体、妖魔が身を隠すために放っている目くらましか、と、手にした双剣の柄を油断なく握り直したその時 ]
うわっ!
[ 突然、霧の向こうから激しい炎が吹き出して神将を襲った ]