[微笑んで返された言葉が腹立たしくて、ちょっとむくれた。]
くっ…くそ…っ
この歳で「オニイチャン」とか逆に恥ずかしいわい!
せめてオトナって言うてーや。
[自分の拳を受けるたくましい胸を見て、落ち着いた意地悪な笑顔を見上げて、うめく。]
あぁ…その余裕とか、大人っぽいとことか、…あと身長とか!
タッくんズルいわ…かなんなぁ、ホンマ。
何食べたらタッくんみたいになれるん?
[と、悔しさ半分、冗談半分で聞き返した。]
[タクマの兄貴分になろうと、色々と背伸びした時期もあったが、そのときの周囲からのまなざしと微笑みの意味に気づいた今、それは少し、恥ずかしい記憶で。
自分が何をしでかしても、いつも落ち着いていたタクマは、青年期にさしかかって自分より、何倍も、大きくなったように思う。]