― 炉を背に佇む二人の下へ ―
[ふよふよと浮いたイドは施設の外から、彼らのやり取りを
少しばかり覗いていた。
イドから送られてくる映像を脳裏へ映し出す。
リエヴルは、炉に飛び込もうとしていたのか。
そして、ディークという存在が、彼の命を、心を
引き止めてくれたようだった。]
――…、莫迦が…、
[彼らがイドに気づいてくれれば、イドはふよふよと浮いて
男の場所まで二人を誘導し。
彼らが辿り付いたその場所に、男は佇んでいるだろう。
貧血で少しばかり顔色の悪い赤い髪の男は大きな樹木へ背を委ね
彼らの無事を確認すると、ほんの少しだけ、口許を緩ませた。]