『なんじゃ、気のきかん男じゃの』[蛇が冷めた声で感想を洩らし、ジト目でセルウィンを凝視した](仕方ないじゃないですか、私に何ができるんです?)[声に出さずにそう抗議して、セルウィンは左右に首を振る。セルウィンの望みは、自分が生まれなかった世界だ。それを叶えたいと思う以上、ここでセルウィンがコンラートに手を差し伸べたとしても、結局“なかった事”になってしまう。それに、人狼である彼がどうにもできない問題を、見習い魔女でしかないセルウィンがどうにかできるとも思えない]