「なら、何故逃げぬ」
[対し、魔戦士が向けたのは、当然の問いかけ]
「逃げる後ろがないし、ここで引けぬ理由がある」
「何より……戦士として、お前さんと立ち合ってみたい」
[そう言って、不敵に笑う様を見て。
魔戦士の中で、それまではなかった何かが動き出した]
[戦い自体は魔戦士の勝利に終わり、戦士は倒れるものの。
刃を交わした事で生じた何かは、これまでのように力なき命を蹂躙するを良しとはせず。
戦士が護りたいと願ったものに、手出しせぬと約を交わした。
生まれし世界と種を異にする者同士の、生死を挟んだ奇妙な友誼は一時、か弱きものたちの命を繋いだかに思えたが]