――少し前の事・保健室前の応酬――
うっ、駄目ですかって、貴方……。
[そんな無心に問われれば>>118、お返ししますと突っぱね続けるのも苦しい。
彼の人の好さを半ば恨みながら、困惑した顔で彼とジェムとを見比べた。
彼の優しさが有難い反面、胸の奥に妬ましさがじわりと滲む。
人を疑わず、誰かが困っているのを見れば喜んで手を差し伸べる。
そうあり続けられる彼の強さは、セルウィンにはないものだ]
……わかりました、それではお借りします。
借りるだけです、後で必ずお返しますからね。
[不承不承、といった様子で受け取りながら、俯き気味に表情を伏した。
胸の内に抱えた相反する感情を、彼に見せるまいとするように*]