……なんでこんなところまで?[ウェルシュには事情はよく分からない。ウェルシュに分かることは船が、ファミルのものだというだけだ。帝国の護衛もなく、単騎で乗り込むような姿勢に、ただただ首を傾げた。何か、自分には与り知らぬ思惑があるのだろうか。] タクマさん……[どうする、と。伺うように怯えた色を浮かべたヘーゼルを、彼に向ける。 特に射撃や砲撃もなく。ゆっくりと近付く船。嵐の前の静けさのような、不気味な静寂が漂う。]