……とりあえず、そこ。
そろそろ、新しい芽が出るはずのとこだから。
不用意に踏んづけるな!
[直後にびし、と指差したのは、とある騎士の足元付近]
その薬草、中々伸びないやつなんだから!
人の領域に踏み込むっていうなら、そういうとこ、ちゃんと気を付けろよな!
[ある意味ズレた突っ込みを入れるのと、頭上で甲高い音が鳴るのはほぼ同時。
どうやら、同行している鳥使いが、里に急を知らせたらしい。
戻って、と呼びかける声に、むう、とむくれて見せた後]
……言ったからね。
里から姿が『見えた』ら、どうなっても知らないよ!
[もう一度そう繰り返して、身を翻す。
濃紅の紐で括った髪がふわりと揺れた。*]