─ 平原 ─
[その姿を、見間違えるはずもない。
もう二度と会いたくないと思っていた、でも忘れることも出来なかった姿、だから。
凍り付いたように目が離せないまま、呆然と見つめて。
けれど、向けられた視線、投げられた言葉はやはり私の知っている彼では有り得ないものだったから、呪縛は解かれて]
……それは此方の───…
って。
なんで、あなたがその、花を。
[そちらこそ何で此処に、と問い返そうとしたところで、胸に揺れたその花に気が付いた。
まさか、彼が私の相まみえるべき相手なのか、と。
現状を鑑みればそうだと理解するべきと、わかってはいても。
己の胸ポケットに挿した紫羅欄花をそっと手で隠しかけたのは、無意識の内*]