[ディークに抱きしめられ、…は動揺した。]
ディーク、君はだいぶ酔っているね?
ヤケ酒というわけではないようだけれど。
上機嫌な君に懐かしさすら覚えているよ。
王都に行っていたのか。どうりで姿を見ないし、噂も聞かないわけだ。
飲みすぎて周りに迷惑をかけないようにするんだよ。
[…はディークの一瞬曇った表情に、…は気づくことはなかった。
ディークの反応に後ろを振り返ると、そこには待っていた愛しい人がいた。目が合うと、…は微笑み返した。]
(ああ、神よ。わたしは酒臭くはないだろうか?幼馴染のディークが注目を集めてくれたところに、こうして恋人のユーリエが現れる。これは準備された舞台だろうか?)
[駆け寄ろうとして、すぐに大勢の人に見られていることを思い出した。落ち着いて…そう頭では考えるが、体はすでにユーリエに向いており、口元は緩んでいる。]
やあ、ユーリエも食事をしに来たのかな?
わたしも今来たところなのだけれど、
よかったら、一緒に、どうだろう?
[有無を言わさずにユーリエをエスコートし、自身の正面の椅子を勧めた。]