― 城下町・花茶屋の辺り ―[その一角を通り抜ければ花の香りがふわり、と舞う。>>112焦り気味の心にはかえって毒となるかといえばそうでもなく、ほんのわずか足を緩めたところに、かかる声>>114]………っと、[その声を自分にかけられたものと思って足を止めたのは、聞き覚えがあったからに他ならず。即座、見知らぬ少女と言葉を交わす声の主――ジークムントの姿を目にし、僅か、眉をつり上げる]