[静かな声で紡ぐのは、古いふるい子守唄。 天翔ける竜《リンドブルム》の家に、古い時代から伝わるもの。 一通り、歌い終えると、は、と一つ息を吐き] ……これと、あと、もう一つ。 『しあわせに』と。 それだけ、伝えてほしい。[先に逝く事への謝罪の言葉は遺さない。 いつか戦場《いくさば》に果てる事は、妹自身も理解している事だから。 だから、その代わりに、と。 伝えたいと願うのは、その新たな未来《さき》に幸いあれ、と、ただそれだけ。*]