― 古き出来事 ―
[彼の内に最初にあったのは、狂気のみ。
戦い続ける事を是とする異界より招かれし魔戦士。
魔鎌を手に、常に強者を求めて戦う様は敵味方を問わず畏怖を振りまくものだった。
向けられる恐れ、それすら取り込み己が狂気の焔の糧となす。
そんな魔戦士にとって、その時相対した戦士は、それまでとは全く違う──初めて接するものだった]
「正直に言うが、お前は怖い」
「許されるなら今すぐ逃げだしたい」
[魔戦士に相対した時、その戦士はそう言った。
強者を自称する多くの者が、恐れなどないと震えていたのとは、まるで違っていた]