── 回想 / 非常事態前 ──
[スノウとラヴィのことを語る彼女の言葉を聞いて、うんうん、と深くうなずく。
もふ好きにわるいひとはいない、これ、絶対のこと。
微かに口端を上げて語る様子に、同僚から聞かされていた噂話に関しては、実際話してみないと分からないものだよなあ、という結論に至る。
確かに、よく表情が動く人、というわけではないけれど。
落ち着いた感じのベテランスタッフに見えて。
どこか、積もった雪の向こうにある何かが、ふと、微かに感じられるような、
それが何かは分からないけれど――そんなふわりとした感触が、どこかにあった。]
そっか、主任さんもあいつら好きなんだ。
うちの先輩がさ、主任さん、美人で話しかけたいんだけど、
クールで隙が無くて話しかけられない、なんてぼやいてたから、
怖い人なのかなーって思ってたんだけど。
話してみないと分からないもんだな、
なんか勝手に思い込んでて悪かったなあ。
[それを本人にぼろりといってしまうところが、彼である。
本人としても意外だったのか、首をかしげるその首筋に、複雑な模様の入った、月と星のような形があった。>>0:105
首筋の白さと、陽の光のような髪色に生えて、よく見える。]