― 少し前:玄関>>104>>105 ―
[当主というのは少し違う。
それを識るのはごく一部なため
外見には似つかわしくない艶麗な笑みで流した ]
格式張った、固い挨拶は結構よ。
この館の女主人として、ゆったりと寛いでいただきたいものね。
[白磁の手が恭しく手を取られ
目上に対するような洗練された所作を紅瞳が見詰める。
招待客は、ごく気分的なもの。
すべての客人の、すべてを網羅はしきっていない ]
[ ただの旅人ではないことは、確かだろう ]
まあ、そうでしたか。
ではローゼンハイムが宜しければ、同室にしましょうか。
ローゼンハイムが、良ければ、ね。
[ 旧知のふたりの邪魔をせぬように、と。
人の良さそうにさえみせる笑みを浮かべ、今度こそ立ち去ったことだろう]
[ローゼンハイムは――おそらく断らないであろうことも、理解しながら*]