[左手の指が、弾け飛ぶ。>>128それを一瞥することもなく、目の前の首に向けて牙をうずめようとした、その“人狼”は――牙の先が、首筋に届くかという、その刹那。ひたり、と。その動きを、止めた。まるで、目には見えない誰かが、その右手を掴んでいるかのように。喉からは、声なき声が迸ろうと。やがて、一人の二人芝居のような均衡が破れ、喉を引き割くような絶叫がひとつ、迸れば。 人狼は、再び地を蹴り、飛び退り]