―中庭―
[狂乱の宴は終焉を告げ、夜は静謐さを取り戻していた。
惨状は夢の様に消え果て、景色は全て元通り。
霧が晴れた空に浮かぶ白月。
薄明りに照らされる色鮮やかな花達は、
穏やかな風に揺れている]
――…アイリス、ベゴニア、アイビー、アネモネ。
ハナミズキ、ペチュニア、勿忘草。
[季節も関係なく中庭を彩る煌きへ、歩を進めるごとに眼差しを向け、名を呼んでは口許に弧を描く]
禅庭花。
[そして群生する山吹色の花の蕾の前で足を止める。
ふわりと熱を持たない青い焔が、男の背後中空へ浮かぶ。
静かに笑みを深くして、"彼"は"彼女"を待っている*]