[ドロシーが右腕を薙ぐのと同時に、彼女の手首から生えたイバラが鞭のようにしなる。反射的に右腕を引っ込めるが、構えたままの左手からエネルギー銃が弾き飛んで、少し離れたところに落ちる。
走って取りに行けるような脚ではない。
転がっていったとして、その間に攻撃しないでいてくれるような相手ではない。]
(――くそ、さっきから…―。)
[脳裏に、無邪気な少女の姿がちらつく。
いろんな人間が乗り降りする金馬号で、いろんな人間に可愛がられたであろう彼女の、無邪気な笑顔がチラつく。
僅かに狼狽えて、照準がずれる。
右のエネルギー銃で攻撃を続けようと弾を撃つが、おそらくほとんど当たらないだろう。]