[>>91その事を、殿下は深く悔いているようだった。
まるで懺悔のような言葉を耳にして、僕は。]
……そうですね。
[一言、肯定した。
殿下に非が無いだなんて、阿諛追従じみた事は言わない。]
もしも殿下が御身に注意を払っていれば。
あるいは、常日頃から武芸を嗜んでいれば。
リヒャルト殿が命を落とすことは無かったかもしれません。
――しかしながら。
殿下が人の上に立つ立場に居られる以上、
誰かが殿下のために命を落とすのは決して避けられません。
特に、殿下が「王」を志されるのなら、尚更。
気に病まれますな、とは申しません。
しかし願わくば、その苦渋を乗り越えて糧として頂きたい。
それが君主たる者の責務であり。
きっと、リヒャルト殿も望んでいることです。