[船の到着が遅れていると誰ともなく聞くと、急ぎ港へ向かう。感染者が出て、島に来た者全員が切り捨てられるかもしれないことは想像したが、まさかこの時代にそんな手段を取るとは信じられない。少し遅れているだけ、そうであって欲しい。その想いが強く歩みは段々と早くなり、港が近づく頃には駆け出していた。港は静かで、水平線の先を見渡しても船の影すら見えない]