―厨房―
[花瓶らしき欠片は厨房の隅に固めて置かれていた。
怪我をしたペーターに始末させるとは思えないから、恐らくシモンか、もしくは手当を手伝ったというオットーが置いたのだろう。
手を切らないよう大き目の欠片を手に取り、パズルのように組み合わせていく。
徐々に花瓶の形に近づくにつれて、あることに気づいた。
割れ方が不自然だ。
ペーターが言う通り、もみ合っているうちに花瓶にぶつかった>>60というなら、花瓶は薄い側面から割れているはずだ。
しかし、最も損傷が激しいのは分厚く頑丈な底面近く。
まるで、その花瓶で誰かを殴ったかのような――]